夢の跡地

ちいさな夢を叶えたら書くブログ

10 母に誕生日プレゼントを買う

 毎年、妹と交互にプレゼントしていて、今年はわたしの番だったので買いました。最初は鞄にしようか、とか靴にしようか、とか定番のものになりそうだったんですが、これがまたおもしろいことに、スマホを入れるポシェット(サコッシュではないんだよなぁ、どう見ても)になりました。
 というのも、その買い物をしに百貨店に行ったときに、ちょうど忘れたんですよ。母が、スマホを。それで家にいた妹に「お母さんスマホ家に忘れたから、用があったらわたしに連絡してね」とLINEしたところ「スマホ首からぶらさげてよ」と返事がきて、「じゃあ……ぶらさげられるやつ買うか」となったわけです。
 探すこと2時間。安いものもたくさんあったんですが、ポケットはそれほどいらないとかマチはちょっと欲しいとか、まあ注文が多い。でも、こういうのわたしもこだわる人間なので、徹底的に歩き回りました。そして、ついに見つけました~~~いや~~~正しくは「保留」しておいたものに決めたという感じですが。

 

スマートフォンケース|横浜元町KITAMURAハンドバッグ

 

  高価なものじゃないですけど、母の好きなブランドなので気に入ったものがあってよかったなぁ、という備忘録でした。これはマジで必要至急だったので許されたいやつですね。喜んでくれてよかったです。

09 ジェルネイルをする

 子どもの頃からピアノを習っていたこともあって、爪は短く切るものというのが染みついていた。深爪が当たり前。噛み癖があるわけでもないのに、ちょっとでも伸びるとイライラしてすぐに切って。まあ、それが当たり前だったから、なんの違和感も抱かなかったんだけど。

 先日、ほぼボランティア同然で引き受けていた「声楽レッスンの伴奏」の仕事が終わった。コロナで、高齢の先生がやむを得ず引退宣言をしたから。先生は最後まで「こんな幕引きなんて」と嘆いていた。華々しく終われることばかりでもないんだと思った。

 だから、と言うと大袈裟だけど、「視界に入る指先」が華やかだったいいな、と思った。せめてこれくらいは、とも思った。見た目が地味だから華とは無縁の人生だったもんで。

 

 そういうわけで(端折ったなぁ、大胆に)、はじめは控えめに薄いピンクにした。自爪を伸ばす目的と、割れやすい爪の保護(ここはキューティクルオイルでも栄養補給!)のため。それから、事務仕事だから職場でびっくりされないための。

 とは言え、そんな打算盛り盛りの選び方でも、かわいいものはかわいい。自分の指じゃないみたいでわくわくドキドキ。こうなったら手の甲もすべすべになりたいなぁ、という欲までむくむく。

 職場でパートさんに「ちょっとずつえぬさんが変わっていったりして!」と言われて「それはそれでいいですね!」と答えてしまった。変身願望はずっとあったけど、結局「なにをどうやってもわたしはわたし」って変な方向に開き直ってた部分もあって。でも、こうやって少しずつ、やってみたかったことができるようになったわたし、確かにちょっとずつ変わってるんだよな。

 

 ちいさな夢を叶えたら書くブログだけど、夢には続きがあるもんです。「ジェルネイルをする」から、「ネイルを楽しむ」までになれたらいいな。新しい夢が出来てしまった。まだまだこれから。

08 占いに行く

 特に悩みもないけれど、なんとなく「久しぶりに占いに行きたいな」と思ったので行ってきた。神戸の老舗占い館(と占い好きの妹が言っていた)。霊感タロットという不思議な文言を見て、直感で「この人だ!」と思った。ちなみに、わたしの直感は外れない。いやな予感も百発百中。外れろよ、そういうことは。いいことに敏感であれ、わたし。

 さて、不思議な霊感タロット占い師さんは宝塚歌劇団の方かしら、と思うほどのうつくしさ。おおう、これはなにを言われても信じたくなっちゃうな。カーテンの中に入り、いくつか質問があるのかと思いきや、テーブルの上に両掌を晒すことに。手相? 手相なの? と思いながら占い師を見ると目を閉じている。見えてねえ……ほんまに霊感一本かい。心の中であれこれツッコミつつ占い師の言葉を待っていると、思いがけないことを言われた。

「あなたは幸運体質です。でも、あなたは自分が幸運体質だと気づいていません」

 ええ、まったく思ったこともございませんよ、わたし。さすがに「はい」以外の返事がなく(すげえなそれもそれで)、続きの言葉を待つと、やはり予想外の言葉が飛び出した。

「だから、あなたの幸運にあやかろうと群がる人が後を絶たない。あなたが幸運を引き寄せる邪魔をする人も、たくさんいます。ただ、あなたはあなたがいいと思ったものを信じて大事にすることで、必ずしあわせになれます。はっきり言います。他の人が喉から手が出るほどの幸運を、もう持っています」

 ……そうでしょうね。なんとなく、そんな気はするんだよ。そうじゃなきゃこんなふうに毎日過ごせてないなって思うし。立派なこととかでっかいこととか成し遂げようなんて思ったことないけど、でも「やろう」と思って「やった」ことは、自分にとってかけがえのない経験になってた。なるほど。そういう自分の人生を「幸運体質」って思うことも、なかなかいいかもしんないな。

 それから占い師はわたしがこれからどうすればいいかをやさしく力強く教えてくれた。タロットも、見たことない絵柄しか出ないからいいか悪いかさっぱりわからなかったけど、光り輝く一枚が真ん中に出てきたとき、「やっぱり出るんかい」と思った。

 帰り際、占い師に「どうしても困ったときはまた来てください。きっとあなたなら、自分の力で解決できますよ」と言われて、悩みがないことがバレていたのかも、なんて思った。それもこれも、占い師の人生経験上の「直感」だったりして。そうだとしたら、わたしは初対面だったけどあの占い師の言葉は信じるよ。わたしも「この人いいな」って思ったもんね。

 占いのおもしろいところは、結局はアナログに「人対人」ってところ。占うのはAIじゃなくて人。だからおもしろい。意味のないことに意味を持たせることって、時に不安をあおるだけだったりもするけど、思ってもいない励ましをもえらたりする。当たるも八卦当たらぬも八卦。都合よく、機嫌よく生きていきたいもんですね。 

07 財布を買う

 小銭はいつもパンパン、レシートをなかなか捨てられず、気づけばポイントカードが入らない。いつもそんなふうだから、当然最後は壊れる。形あるものいつかは壊れるって言ったって毎度毎度破壊してるんじゃ埒があかない。財布も消耗品。だけどもうちょっと長く付き合いたいよ、せっかくなんだから。

 と言うわけで、財布を買いかえた。今度こそポイントカードでいっぱいにならないように、アプリにできるものはアプリにして、そもそもポイントカードを普段持ち歩かないことにした。買い物する日にカードケース(というかきんちゃく袋)を持っていく。これしかない。これ以外ない。

 ネイビーの手のひらサイズのその財布は、キャッシュカードと免許証、そして保険証しか入らない。あとは小銭とお札。なんてちいさいお財布。これなら「財布が入らない」という理由でちいさめの鞄を諦めることもない。いつもA4が入るトートバッグだもんな、わたし。今度は財布が見つからないって言いだすかも。キャッシュレス時代に財布を買いかえてご機嫌、ってやっぱりアナログだなぁ。でも、お気に入りのかわいいものがある生活って、電子マネーでは生まれないよね。

 今度こそ、大事にします(します)

06 俳句で賞をとる

 手帳の「やりたいことリスト」にこの文言を書いたとき、「出すことに意味があるから!」と自分に言い聞かせたんですよね。まず出す。四の五の言わずに出す。そこからはじめる。なんとなく避けていた「賞レース」。賞金の文字に目が眩んだだけとも言うし、今回に関しては「参加賞:レターセット」が気になっただけとも言う。

 仕事から帰宅すると、わたし宛の封筒が。「これはもしかしてレターセットでは?」とわくわくしながら開けたら賞状が入っているじゃありませんか。レターセットは「じゃばら便せん」というもので、これがまたなかなか渋くてかっこいいんですよ。クリアファイルも孔雀の絵で――いや、渋っ。めっちゃ渋っ。なにこれ渋っ。これ使いこなせるほどの人間じゃないですよ。あ、もしかして、使いこなせる人になってねというメッセージかな? そんなメッセージ込める? ここに? とプチパニック。ひとまず、晩御飯を食べて落ち着こう。そうしよう。

 食べた。何度見ても「入選賞」と書いてある。作品集にも句と名前が載っている。うれしくてついTwitterに載せちゃった。プライバシー皆無。本名で活動してるから致し方なし。まあ今日だけ調子に乗らせてくださいよ。いつもアイドルの話しかしてないのにね。アイドルの話するとフォロワー減るの、そろそろ傷つくぞこんにゃろ。わたしは生粋のアイドルオタクなんじゃい。あ、話がそれた。

 句を作っているとまだまだバラつきがあって、よくてツーランたまに送りバントほぼ三振なんですけど(補欠やんけ)、技術的なことは一旦置いておいて、ひとまず素直に喜びたいと思います。ぶっちゃけめちゃくちゃ恐れ多いんですけど! ここに書いたらきれいさっぱり忘れて、引き続き楽しく句作したいと思います!(多分普通に忘れます。鳥頭なので)

 蜘蛛の糸白し面会謝絶の夜  池田奈加(第八回関西現代俳句大会入選賞)

05 母に30万円返済する

 はじめて「うつ病」と診断されたとき、不思議な気持ちになった。よく「まさか自分がなるとは思わなかった」というセリフを聞くが、「ついにこの時が来たか」という感想が先で、「これは多分、自業自得なんだ」とも思った。

 学生時代、電車に乗れなくなったことがあった。貧血持ちだったこともあって、冬だったし、まあ疲れていたんだろう、と思った。しばしば乗れないことはあったが、大学に通えないほどではなかったし、一本や二本電車をやり過ごせばどうにかなった。満員電車が原因だとわかっていたから、各駅のスカスカの電車に乗るべく早起きもした。

 結局、しんどいと思ったときにしんどい理由をどうにかしなかった自分が悪い。仕事ができない自分が悪い。人にきらわれる自分が悪い。そう思ったら、主治医の「えぬさんはうつ病です」という宣告は、わたしにとってはただの「罪状通告」でしかなかった。そうか、罪を償う番なのか、と。茫然自失の中、わたしは仕事を辞めた。

 お金がない、という状況は、事態を悪化させる以外のなんでもなかったが、幸いわたしは実家暮らしだったために、飢え死にすることも、丸裸で路上生活を強いられることもなかった。これを甘えだと言われればぐうの音も出ないんですがね。

 そんな最中でも、母はわたしを見捨てなかった。おそらく心の中では「いい加減にしてくれ」と思っていただろうし、思っていて当然だと思うが、わたしにお金を貸してくれた。ただ、母はどこまでもわたしの母なので「必ず返すこと」をわたしに約束させた。利子も期限も設けないから返済はしろ、という母の言葉は悪化する病の真っただ中でも、ある意味で支えとなっていた。

 働こう、と思っては挫け、挫けてはまた働く決意をし、そうやって何度か転びつつ「借りた金を返す」ことだけは忘れることはなかった。ただ、返済のために無理に節約しようとか、趣味に使うお金を減らそうとは思わなかった。だから、やや時間はかかってしまったが、簡保を解約したときに返ってきたお金をそのまままるっと母に渡した。ATMで大金を下ろすのは本当に、本当に、本当に心が震えた。今襲われたらどうしよう、後ろのおばあさんが急に殴りかかってきたらどうしよう、自転車に乗っていて……とびくびくしながら帰った。お金って怖い。ちなみに、生命保険は自分で考えてべつの会社のところに入り直した。がん保障つき。ガチもガチ。

 母は「貯金大丈夫なん?」と冗談交じりに言ったが、ひとまず返済させてくれ、ということで受け取ってくれた。元々母のお金だから、もらってもらわないと困るのだけれど。

 今年の夏、母の誕生日を祝うのはわたしの番だ。妹と隔年で祝うことになったのはいつからだっただろう。今年は少し予算を増やした。おいしい鰻が食べたい、というわたしと母の願いもついでに叶えようという作戦だ。こんなときだが、こんなときだから、と言っていたらいつ叶えられるかわからない。目標は達成するために設けるもので、達成できる目標から手をつければいい。だからわたしは、今年100個も目標を作った。

 そのうちのひとつを今日叶えた。次はなにを叶えようか。途方もないと思っていたことも、案外どうにでもなるもんだな。本当に、恵まれた人生ですよね。

04 オイルマッサージをする

 雨の日に出かけるのは憂鬱だったけれど、今日は自身の体を癒すべくいつものマッサージ店に向かった。普段は足つぼとボディマッサージを受けるが、思い切ってオイルマッサージを予約してみた。というのも、筋肉疲労以上に心労が酷すぎるため「これは自分を最大限に甘やかすしかない!」と思い立ったのだ。

 さて、オイルマッサージというのは文字通りアロマオイルを混ぜたマッサージオイルを体に塗り、リンパの流れをよくするというもの。つまり、紙パンツ一丁になるということだ。しかし、あかすり体験済みのわたしに怖いものなどない。いや、見せびらかすつもりもないけども。

 ひとまず足つぼマッサージを受けるため、半袖とハーフパンツの着替えを着用。ハーフパンツ、めちゃくちゃアロハ柄だな。すげえ夏。最高だ。足湯を5分、そしていよいよ足つぼ――といつもなら、施術してくれるお姉さんが渾身の力を込めてゴリゴリと足裏を刺激するのだが、今日はそんなに力が強くない。おかしいぞ、もっとゴリゴリするはずでは。そわそわするわたしに、お姉さんが呟く。

「今日、やわらかいですね」

 やっぱりそうですよね!? あのカッチカチの鉄板みたいな足裏が、なんかふにゃふにゃですよね!? なんでや!? あの鉄板はいずこ? 不思議に思いながら気持ちよさにまどろんでいると、いよいよオイルマッサージのターンに。シーツとホットマットの間に挟まると、お姉さんがふくらはぎから施術をスタート。

 ほのかに香るアロマとぬらぬらした独特の感触。なるほど。これがオイルマッサージか。と油断していたら、普通に痛かった。凝りすぎて。体中どこもかしこもグリグリでゴリゴリのバキバキだった。擬音語しか使えないレベルなもんで、終わった直後、お姉さんが「体は全然やわらかくなかったですね! やっぱり!」と笑っておられた。

 わたしは痛みに強いので、普段のボディマッサージもおそらく強めだと思うけれども、オイルマッサージは「押す」というより「さする」のほうが感覚的に多め。ゆえに、こそばゆいと感じる人もいるだろうな、と。わたしも背中はさすがに「おわっ!」と思った。さすがに声は出なかったけど。

 自分へのご褒美にはちょうどいいかもしれない。温泉のときから思ってたけど、服を着ないという解放感、時々欲しい。そういう意味ではかなりリラックスできるので、全裸(紙パンツ履くけど! 施術のときに丸見えになることないけど!)が平気な人は体験してみてもよいかも。うーん、いい時間だった!